kokeiro

コケのコト色々 コケを楽しむ色々 コケ色な毎日

top

コケイロもいろいろ 苔色とは??

苔色の歴史

0000181526.png
「苔色」という言葉が使われはじめていたのは、なんと平安時代まで遡ります。
しかし、当時は今と違って色名(カラー)としてではなく、
着物(平安装束)のかさねに使う色目を表していました。

ひとくちに「かさね」といっても
1,表裏の合わせ色目(重色目)←袿の一枚の表地と裏地の混色名。
2,重ね着の色目(襲色目)←十二単の袿の五衣の組み合わせ配色の総称。
3,織物のかさね色目

と3種類あり、過去の文献により文字もまちまちに使用されていたようで、「襲」と
「重」は、ネット上では結構曖昧で分かりづらい印象です。

__________

「合わせ色目」で見た場合。これは春夏秋冬で色を使い分けていたようです。
一概にはいえませんが、「苔」は「冬の色」として分類されていることもあります。
使用カラーは伝統色名で、表が「濃香コキコウ」裏が「ニ藍フタアイ」


 
   
   



しかし、この色目は「苦色ニガイロ」という(四季通用カラーだったり、冬用だったりの説多数)にされている場合も多いです。

また、多くは「表裏ともに濃い萌黄色」を使った色目を「コケ色」としています。

 
   
   



色目は、時代や公家の家流によって様々な説があり、ズバリこれ!と指し示すのはむずかしいようです。

____________

このように、色目としては存在していた「苔色」ですが、古代の染色や絵の具の色名には見られませんでした。

それは、おそらく萌黄色の一種としてみられていたからとも考えられているようです。当時の萌黄色の構成は【「雌黄しおう」×「藍鑞あいろう」】だとか。
これは、くすんだ渋さを含んでいた色で現在の萌黄色とは異なります。
江戸時代の定式幕も、萌黄・黒・柿の色とされていていますが、緑がくすみ気味。

そのうち、若葉のような鮮やかな色が顔料で出せるようになって、萌黄は鮮やかな方を示すように、渋い方は後に苔色へとつながったのでは、とのこと。

____________

そして、江戸時代以降になるとやっとカラーとしての「苔色」が誕生します。
それまでには、萌黄色や海松色みるいろ、柳茶や裏柳や、鶯色などの類似色が愛用されていた模様です。

さて、苔色といえば「モスグリーン」!
ファッションやインテリアとしても愛用される馴染み深いカラーですね。
英国の絵の具業者間では、「クロムグリーンとローアンバーかクロムイエロー」を混ぜた色調を意味していたカラーだそうですが、
この「モスグリーン」という名前は、1884年明治維新のころに誕生しています。
「苔色」と比べると意外にも歴史が浅いのです。
昭和20年ころには、日本で大流行となりました。

1200年代では、「新古今和歌集」に苔が詠われ、苔庭の価値を知る日本人はいつも苔を尊重してきた長い歴史があります。その独特な美意識、感性が、「苔色」として親しまれて来たわけです。
カタチを変えてきながらも、この色への関心が「モスグリーン」よりはるかに古くからあったというこの事実。

日本の誇りであるとともに、大事にしていきたい心です。
__________

ところで、
萌黄色も時代とともに、トーンや色みが随分と変化しています。
萌黄は近年、萌ともされますが、
JIS慣用色名にある萌葱色は、葱の若芽である暗い緑をさす色で伝統色名の萌黄とは異なります。
もちろん、見た目の色みも全く異なります。

長い年月の中で、様々に変化や誕生を重ねて来た「色」の世界。
同じ呼び名でも、古代の人と現代の人が見ているものは違う場合も多く、複雑で混沌とした印象な色のイロイロな世界。でも、この中でイロイロに関わって来た「コケイロ」の歴史に思いを馳せるのもまた、なかなか趣き深いものです。


「苔色(こけいろ)」とは

色の世界は、国内の中だけでもその長い歴史の中で色々に変化を遂げてきています。
また、感覚的な部分に頼ることが多い分野だけに、
今でも「苔色」としてしまうものは、実は「抹茶色」だったり「海松色」だったりして、くすんだ渋い緑色を画一的に「苔色」とざっくり表現してしまうことがあります。このざっくり感。。。
藻も蘚苔類も地衣類もまとめて「コケ」といってしまうざっくり感に似ています。

「コケ」ってある意味、都合よく使える表現しやすいワードなのですね。
「海松色みたいな色の巾」より「苔色みたいな緑色の巾」の方が誰にでも伝わりやすそうです。

では、カラーとして現在の私達に馴染み深い「苔色」とは、具体的に一体どんなものでしょうか。


PCCSという色の概念を表す規格で苔色をみてみますと
10:YG-5.5-5s         と表し、トーンd10となります。

 
   
   



          

JIS慣用色名:苔色(モスグリーン、鶯色)、
JIS系統色名:にぶい黄緑


これは、黄緑(10:YG)で、トーンが5.5レベル。
つまりミディアムグレーの度合いを意味する中間色d(ダル)にあたり、彩度が5sで中彩度という意味です。

これは、黄緑にどんどんグレー、ないし白を混ぜていったときの各段階ででてくる色を示すのですが、色の強弱や、明度が中間の黄緑色を苔色としています。

これは、PCCSというカラー規格なのですが、
他にJISマルセル値としては、2.5GY 5/5.0
RGB値(10進法)では、116-126-71
RGB値(16進法)では、#747E47
CMYK値では、55-35-70-0  となっています。

他にはネットなどで色を指し示す16進法においては、
#69821bを苔色、#777e41 をモスグリーンとしているものもあり、ズバリの番号で指し示されていません。
色々出てきます。

________
このPCCSシステム独自のd(ダル)という明度の段階を表す概念ですが、これは鈍いということを意味しています。そして、そのダルのイメージは下記のようなイメージキーワードで表現されています。

【鈍い、穏やかな、落ち着いた、上品な、素朴な、日本的な、慎ましい】

この表現、まさにコケのことそのものではないかと思わせる表現で興味深いです。
また、このダルゾーンの「苔色」以外の色の慣用色名は、
小豆色(にぶい赤)
菜種油色(にぶい黄)
古代紫(にぶい紫)
梅紫(にぶい赤紫)
など。いずれもダル色なので、くすみのある渋めの色合いでとても日本的ですよね。
なるほどの、美しい名前が付けられています。

日本人は、この微妙で複雑なニュアンスを含む繊細な色合いを昔から愛用してきたので、「苔色」も自然にカラーの世界に取り込まれ、親しまれてきたのかもしれません。例えば、ラテン系やアフリカなどの文化でこのダル色が文化に取り入れられたり、重宝されたり、などイメージ付きません。

白黒はっきりさせない、グレーな国民性は時として痛手も伴いますが、
「苔色」を発端として、こうした色の文化を想うと、
「曖昧の美」を良しとするまさに日本を象徴するようなダルゾーンを好む情感というものは、今後も大事にしていきたいものです。


ちなみにダルとは相反し、離れた位置にいる「ペールトーン」のイメージは
【うすい、清らかな、爽やかな、澄んだ、弱い、優しい、女性的、ロマンチック】
などです。

『色』というものが、視覚的なものだけをさすのではなく、
様々な要素を取り込み、表現する繊細さを持ち合わせていることを、
「苔色」を通して改めて実感します。



日光
このように、分析的に「苔色」をみてみましたが、
実際の「苔色」も実に色々!
種が変われば当然、色も変わります。
湿っているのか、乾燥しているのか、でも随分変わり、
同じ種でも環境の違いで色合いが変わってきます。

ぜひ、色々なコケの色々な苔色を直に触れて、体感してみてください。

「緑色」は温度感のない中間色。
体のエネルギーセンターで表される"チャクラ"でも、ちょうど中間である第4チャクラの胸の位置に緑が来ています。
ここは、自分や周囲に対する無条件の愛情を意味する場所だそうですが、
そういえば、苔の花言葉は「母性愛」です。

スピリチュアな目で見ても見なくても、もともと植物の緑色には、人間を癒し、元気にする力があるのは周知の事ですね。
森林浴や登山などで感じるリフレッシュ効果の一つでもあります。
植物の緑を感じて嫌な気分になる人はきっと誰もいないでしょう。
原始的な自然や虫などが苦手な方でも、綺麗に管理された観葉植物は好きなはずです。
グリーンな植物より花の方が好きな方も、その花には必ず緑がついて回っています。

カラフルに彩られた花が存在しない太古からあった緑色。
バクテリアから藻、そしてコケへシダへ。そこから木や花へ。
酸素やオゾン層をつくり、陸上での様々な生き物の繁栄に一役買ってきた緑色は命の源。まさに母なるカラーですね。

色に優劣は無く、どの色も地球にとって重要ではあるのですが、
緑色に触れると落ち着き、自分を取り戻したような感じになるのは、そういった時空を超え、全ての根源のような、そんな力をどこかで感じ取っているからなのかもしれません。
「苔色」から壮大な展開になりすぎましたが、
コケに触れると「地に足が着く」感覚になります。
小さなコケが織りなす様々な色。そこから摂取できる力の大きさを日々感じるのです。







kokeiroモバイルサイトQRコード

kokeiroモバイルサイトへはこちらのQRコードからどうぞ!

  • 0000280288.png
  • 0000280289.png
  • 0000280294.png
  • 0000290326.png